恨みが消えない。人を呪わば穴二つとは言うけれど恨むにはちゃんと理由がある

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消えない恨み。消したくても消せない心の恨み。
恨みの奥には記憶に残したくない傷ついた体験が隠れていることも。

恨みという感情は心で握りしめ続けたくはない感情の一種でもありますが、
理性で感じる感じないを決めれるくらい素直な感情ではないはずです。

「絶対にあいつは許せん」「あいつが幸せになることは認めない」

そう復讐を望む気持ちが心で沸き立つほど、
取り扱いにくい感情の一つのはずです。

ではそんな消えない恨みはどのようにして扱うと良いのでしょうか。

目次

恨みが消えないあるケース

例えばこんなケース。

学生の頃にいじめの体験をしたAさん。
クラスで文化祭の出し物を決める学級会が開かれたときのこと。
クラスで人気のある生徒のBさんの出した案ではなくAさんの案が採用されました。

それは一見するとどこにでもあるようなことですが、
その一件でAさんはBさんを含めたクラスの生徒複数人からいじめを受けるようになりました。

無視をされたり聞こえるような声で人格を否定されたり。
理不尽極まりない言動の数々です。

ですが相手は複数人であったこともあり、言い返すことも難しく
また誰にも相談することもせず卒業まで耐え抜く道を選びました。

その後耐え抜いてから高校大学社会人と人生を重ねていったAさんですが、
常に生きづらさを抱えながら生きてきたと言います。

学生の頃の体験から人と深い関係性を築くのが苦手になり、
自分の気持ちを素直に自己開示するのも怖いとも言います。

未だにあの時のいじめを思い出して苦しい日を過ごすこともあります。

Aさんは今の自分の人生を振り返ってこう口にします。

「いじめを体験する前の私はもっと社交的だったんです。初対面の人と話すのも苦ではないし、
自分の気持ちは素直に表現出来ました。

でもあのいじめの日々から私の性格は変わってしまったんです。

誰と話してもビクビクしているし。攻撃されないかな?無視されないかな?
そんな風に怯えながら気を遣って人と関わっている自分がものすごく嫌になります。」

続けてAさんはこうも言います。

「あいつらが居なければ私の人生は順風満帆だったんです。時々思いますよ。
私はこんなに苦しい日々を過ごしているのにあいつらはのうのうと生きているんでしょうね。

もしあいつらが幸せに暮らしているならその幸せを壊してやりたいくらい恨んでいるとこはあります。でも勇気が出ないので復讐はしないですけどね。」

恨みの仕組み

恨みとは積年の恨みや宿怨という言葉があるように、過去の傷つきが何年も塵に積もった感覚です。憎しみとはまた違う。ずっと心に抱えてきたような感じ。憎しみよりも深い怒りに感じます。

憎しみは愛憎とか。可愛さ余って憎さ100倍とか。恨みよりもちょっと軽いイメージ。どちらかと言うと愛していた人に裏切られたとか。一度好きだったのに嘘をつかれたとか。

好きや愛を捨てきれない。でも怒りも捨てきれない。そんな心の葛藤がある状態を指すのかもしれません。

でも恨みはこの葛藤は少ないのかもしれません。どこか「自分が傷ついたのはあいつのせい」「あいつが悪い」そう相手を悪者だと決めつけたくなる働きが隠れているものです。

相手を悪者と決めつければ「恨みを抱える苦しみ」を減らすには相手に復讐するしかありません。
もしくは相手を悪者だと思い続け、一生苦しみを抱え続けるしかないはずです。

だから恨みが消えないというよりは恨んでいるときは恨みは消えないというジレンマが「恨み」という感情にはあるものです。

何だか禅問答みたいになってきましたが「恨み」と「相手を悪者にする意識」はセットなわけです。

だから恨みを消すというよりは、相手を悪者にする気持ちを抜け出す習慣が大切になるはずです。

それが「気分の晴れる行動をする」「恨む相手のことは考えず時が解決するのを待つ」「あるものに目を向けて感謝する」といった意識を逸らす。別の視点を持つ。心の選択を変える。そんな日々の心の持ちようが大切にもなっていきます。

でも元を正せば「恨み」とは過去に「怒り」を伝えれば良かった場面で伝えられず、我慢に我慢を重ねて傷つきが深くなってしまったということから生まれた感情です。

例えば無視をされたときに「無視をしないで」と怒りを伝えられたら恨みを抱くことはなかったはずです。

つまり「恨み」の奥には「怒り」を伝えて自分を守る行動を取ることに、ブレーキをかける心の働きが隠れているとも言えそうです。

それは「怒り」を傷つきを感じた瞬間に伝えられない。
なので怒りが心の中に抑圧されて時間が経って「恨み」に変わったとも言えそうです。

とすると「恨み」を解放するためには本来は「怒り」だった感情を解放する必要があると言えそうです。


消えない恨みを無くしていくには

でもそうは言っても恨みとは簡単には消えないもの。

例えば先ほどの学生の頃に無視をされたAさんのお話の場合、様々な感情を抱えています。

当時に言い返せなかった、やり返せなかった惨めさや悔しさ。
その当時に誰にも助けてもらえなかった孤独感や孤立感。
また同じ体験をするのではという不安感。

様々な感情が折り重なり、その感情の集合体として恨みつらみがあるわけです。

そして恨み辛みが様々な感情の集合体であるからこそ、
復讐をして取り返したいという欲求が生まれるわけです。

でも今復讐をしたとしても自分の心が晴れないという問題があります。

仮に復讐に成功してその相手を自分よりも傷つけれたとしても、
誰も助けてはくれないという孤立感は消えないかもしれません。

またいじめっ子に復讐できたと優越感を感じられるようになったとしても、

復讐をした自分のことを「あまり良くない人間」だと
益々自分の価値を低く見ることになってしまうかもしれません。

それは自分自身を更に幸せから遠ざけてしまうことにもなります。

そのため恨みを消していくには一つ一つの感情と向き合うことが大切になります。

例えば孤独感や孤立感に関しては人との繋がりを作ることが大切です。

繋がりとは自分の過去の苦しみや恨みを話した時に、
受け入れてもらう受け止めてもらう体験を重ねていくこと。

自分の人生の味方になってくれる人が居ると思えれば、
より消えない恨みに向き合っていくことができます。

味方が居ると思えるようになると、独りで恨みに向き合わなくて良いと思いやすくなります。
そうすると復讐して取り返すしかないという欲求を緩和させてくれて、
恨み辛みに囚われる日々が徐々に減っていくものです。

またやり返せなかった悔しさや惨めさに関しては怒りの感情の発散が必要です。

惨めさや悔しさとは「もう今の自分なら同じ体験はしない」と思えると無くなる感情です。

つまり恨みを感じるに至った状況を再度体験しなくなるほどの強さを持つことが大切。
強さとは意志や覚悟といった感覚です。

だから例えば同じように無視をされたときに「止めてくれませんか」と言える自分になる。
または「いい加減にしてくれ」といじめに対して我慢せずに反抗できる自分になる。

そうした風に断じて「いじめは許さない」と思う方向性に自分を持っていくことが大切で、そのために怒りの感情の発散が必要になるわけです。

またその怒りの感情を発散していく一つのやり方として社会還元というのがあります。

例えば自分が無視された痛みを知っているから同じ痛みを持つ人の助けになる。
またはいじめそのものが無くなるような活動を日々行っていくなど。

それは消えない恨みを誰かの心を守るエネルギーに使っていく生き方です。

この生き方ができると「いじめは許さない」「いじめの痛みは癒されるべき」という態度を人との関わりや社会活動を通して取るということです。

だから自然に心の面持ちが恨みを無くしていく現実に向いていくのですよね。
勿論その活動自体が直ぐに恨みを消すことには繋がらないかもしれません。

でも活動を通して「人の恨みが減る関わりをできたとき」
「消えない恨みを持つ人にとっての居場所を作ることができたとき」
「恨みで苦しむ人の味方で居続けられたとき」

誰かにとってのそういった救いを作るということは、あなたの心の中に救いを作ることにも繋がります。

誰かが救われたときに私達も抱えてきた恨みを無くしていけるのですよね。

それはあなたの中にある恨みが消えるだけではなく、
あなたの周りの人も恨む苦しみから解き放たれたりもして、
あなたの周りが安心や安全に溢れた毎日に繋がっていきます。 

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