怒りの感情というのはとてもパワフルな感情でもあります。
だから扱い難い感情でもあります。
時に怒りに流されて「怒鳴ったり」「ブチ切れたり」してしまうこともあります。
また怒りを言葉にできず我慢し続けてしまうなんてこともあるかもしれません。
伝えるべき場面では怒りを伝え、伝える必要のない場面では怒りを伝えない。
そんな風に適切な形で怒りをコントロールいくためにはどうしたら良いのでしょうか。
怒りの感情とは
怒りの感情とは様々な意味合いのある感情です。
その中の一つに防衛という役割があります。
それは身を守るためや心を守るため。脅威となるものから自分を守るために怒りが必要なのです。
そういう意味では怒りとは自分の盾という意味合いもあります。
例えば身の危険を感じた時に大きな怒鳴り声を出して相手を威嚇するなんていうのも怒りを盾として使う場面の一つです。
また誰かの強い意見に対して強く反論する時も怒りを盾として自分の考えや価値観を守る場面です。
自分が脅威と認識した何かに対して怒りの感情は現れるわけですが、
怒りを感じる時の一つの特徴として安心できる状況ではないというのがあります。
また親に対する反抗期の場面においても「怒り」の感情は必要になります。
それは親の考えや価値観を強い「怒り」のエネルギーで否定して、自分の価値観や考えを確立するためです。
だから見方を変えると怒りとは「自分の大切なもの」をはっきりと確立させるために必要な感情なわけです。
だからこそ感じる怒りの大きさとは現実的な状況や心の在り様にも大きく影響されます。
例えば目の前にクマと対峙するような場面であるとしたら、「身の危険」を感じる場面ですからそれ相応なとても大きな怒りの感情が必要になります。
またこれは一つのケースですが過去に虐待などで暴力を振るわれたことがある場合、
心の中で常に身の危険を感じる感覚が抜けないことがあります。心が安心しきっていないわけです。
そのため他の人にとってみれば怒るようなことでないと感じる場面でも強い怒りを感じることがあります。
それは過去の自分が受けた体験の脅威性と目の前の出来事の脅威性を重ねてしまうからなのです。
つまり怒りとは自分にとっての「居場所」や「考え方」や「日常」を維持したり、守ったり、確立するために必要な感情なわけです。
でも先程も言ったように怒りの根っこには「安心」できる状況ではないというのがあります。
怒りのコントロールは安心できる心の状態を作れるかどうか
そのため抑えられない怒りの感情のコントロールに必要なのは心が「安心」できる状態を作り上げることです。
例えば目の前に居たクマと接近する可能性のない距離に行ければ、心は「もう大丈夫だ」と安心します。そうすると怒りを感じる必要性はないわけです。
また部下に意見されるとつい強く怒ってしまう場面はどうでしょうか。
勿論こちらが強く怒り部下が何も言えない状況を作れれば、ひと時の間自分の考えが否定されることはなくなります。
でも結果的に部下に恨まれてしまったら益々「安心」は失われます。
だとしたら積極的なコミュニケーションが大切になります。
そのために自分が部下の言動の何にに脅威性を感じているのかを把握しておくことが大切です。
例えば「部下に自分の立ち位置を脅かされる」「部下になめられてしまう」といった恐れが隠れているかもしれません。
だとしたら「部下と信頼関係を築く」「お互いに本音を話しやすい関係性を作る」と言ったように、部下と共にお互いを認め合う関係性に進んでいくことが大切にもなります。
それなりに親密な関係性の中で怒りを感じる場合
また夫婦関係や親子関係など、それなりに親密な関係性で怒りを感じる場合は呼吸に意識を向ける事も大切です。
親子関係のような親密な関係性の場合、心の中で関係性の方向性が何となく定まっていることがあります。
子供に対してなら「怒るよりも受け入れてあげたい」「出来るだけ優しくしてあげたい」とか。
でも瞬間的に怒りを感じた時というのは「自分が子供との関係性で何を望んでいたか」を見失ってしまうものです。
だからこそ呼吸に意識を向けるなどをして、怒りから気を意識的に逸らし「自分が子供との間で望んでいたことを思い出す」冷静になる時間が必要になります。
しかし夫婦関係などにおいて大きな怒りを感じることもあります。
それはパートナーが浮気をしたとか。心が強く動かされるとき。
そういったときは心が深く傷つきを感じ、
心の自信や肯定感といった自分の支えとなる根幹の部分が崩れ去る恐れのある場面です。
当然自分の心を守るために怒りは心の反応として出てきます。
こういうようにより大きな怒りの感情の場合は傷ついた痛みのケアをして「安心」を増やしていくことが大切になります。
大きな怒り程、心の傷つきは深いという性質もあります。
どうしても大きな怒りが無くならない。大きな怒りをコントロールできない。
そういった場合はカウンセリングなどで怒りの奥にある痛みをケアしていき、心の「安心感」を増やしていくことも大切になります